
産婦人科
概要・特色
卵巣嚢腫や子宮筋腫、子宮内膜ポリープといった良性疾患に対して、低侵襲治療である腹腔鏡手術・子宮鏡手術を数多く施行しています。妊娠をご希望の方には、一般不妊検査・治療から体外受精・顕微受精・受精卵凍結といった高度生殖医療までを行っています。妊娠してからも、出産そして産後まで継続して診療をうけることができます。悪性腫瘍に対して、手術療法・薬物療法・放射線療法を行っています。

良性疾患診療
卵巣嚢腫や子宮筋腫といった良性腫瘍や子宮内膜症に対して、数多くの腹腔鏡手術を行っています。開腹手術に比べて術後の痛みが少なく、入院期間が短くなります。粘膜下筋腫や子宮内膜ポリープに対しては短期入院での子宮鏡手術を行っています。2024年に手術支援ロボット「ダビンチ」を用いた低侵襲手術(子宮摘出手術)を開始しました。帝王切開瘢痕症候群に対する検査や内視鏡手術も積極的に行っています。
悪性腫瘍診療
画像検査や消化管検査など、総合病院として他科と協力して診療を進めています。各がん種に対して、適応する場合には分子標的治療薬・免疫チェックポイント阻害剤・PARP阻害剤などを併用します。難治性癌や再発癌に対して、放射線治療を行うことがあります。当院では不妊診療を契機にみつかる初期がんや前がん状態の患者さんも多く、その場合は可能な限り妊孕能を温存した治療を行っています。
子宮頸がん
前癌状態(子宮頸部異形成)に対しては、外来治療としてレーザー蒸散術や、短期入院治療としてLEEPを用いた子宮頸部円錐切除術を多数行っています。浸潤癌に対しては手術療法を行います。手術以外の治療法として放射線療法がありますが、当院は子宮頸癌の専門的な放線治療設備(腔内照射)を保有していないため、初回治療としての放射線治療は他院で受けていただきます。
子宮頸がん健診は、婦人科外来では施行していません。当院健康医学センターでがん健診の予約を受け付けています。子宮頸癌予防目的のワクチン接種(公費または自費)を外来で受けることができます。詳細は子宮頸がんをご覧ください。
子宮体がん
初期の子宮体癌に対して、2015年に施設認定を受け、これまでに約100例の腹腔鏡下手術を施行しました。従来の開腹手術に比較すると、創が小さく術後の体力回復が早く、術後の合併症も少ない傾向にあります。入院日数が短く、早く元通りの生活に復帰することが可能となります。
若年者の子宮体癌や前がん状態(子宮内膜異型増殖症)に対しては、手術以外の治療としてホルモン剤治療を行うこともあります。治療の適応に関しては担当医にご相談ください。
卵巣がん
卵巣腫瘍はおなかの中にあるため、ほとんどの場合は手術で摘出するまで良悪性の診断が確定しません。術前の検査で悪性腫瘍が疑われる場合には、手術中に病理検査(術中迅速組織検査)を行います。進行癌であった場合には術後薬物療法を行います。
絨毛性疾患
胞状奇胎や絨毛癌に対して、専門的検査と治療を行っています。
不妊治療
妊娠を希望するカップルの約50%は3か月以内、70%は6か月以内、90%は1年以内で妊娠に至るとされており、1年間以上妊娠しない場合は、不妊症を疑って検査や治療をお勧めしています。
不妊の原因は女性側だけでなく、男性側にも原因が半数あると言われているため、ご夫婦で検査を受けていただくことが望ましいです。当科では、なるべく自然な形での妊娠を目指しています。まずは一般不妊検査として、血液検査、ホルモン検査、超音波検査、子宮卵管造影検査、精液検査など行います。そののち、状態に応じてタイミング指導や人工授精などを行っていきます。必要があれば子宮鏡や腹腔鏡検査(手術)を行うこともあります。これらの方法での妊娠が困難と考えられる場合は、体外受精・胚移植(IVF-ET)、顕微授精(ICSI)などの生殖補助医療をご提案しています。男性側に原因がある場合は、他院へご紹介させていただいています。

顕微授精
産科診療
妊娠初期の方は、紹介状を持参せずに受診することができます。当院は総合病院ですので、様々な合併症をもった妊婦さんに対応することが可能です。週数の早い早産や合併症を持つ胎児・新生児の場合には、NICUや周産期センターを併設する病院へご紹介します。詳細は当院での出産についてをご覧ください。