
消化器外科
概要・特色
消化器は、食べ物からの栄養素を体に取り入れ不要物を排泄するための運搬・消化・吸収・排泄を行う体の部位(臓器)と、栄養素の貯蔵や分解と体に必要なものを合成する臓器を含みます。部位としては、食道、胃、十二指腸、小腸、大腸(結腸と直腸)、肝臓、胆嚢、胆管、膵臓、脾臓があります。消化器外科は、この消化器に病気が起きた時に、診断と治療を行う外科の一分野です。また消化器を包んでいるお腹の壁・腹壁の異常も対象とし、一般的な外科の中では最も幅広い分野です。
当院の消化器外科は、消化器の病気と外科治療さらに消化器がんの知識と経験を積んだ、学会認定の消化器外科専門医を中心に、様々な病気の診療を行っています。現在多くの消化器の病気に対しては、過剰な治療や過少診療をさけるために、標準的な治療を示す治療ガイドラインが作成されています。当院ではこれらの治療ガイドラインを踏まえ、最も効果の高い治療法を提供することに努めています。必要に応じてより広い範囲を切除するなど根治性(完全に病気を治すこと)を追求しますが、一方で、手術の合併症や後遺症をより少なくするべく安全性を追求しつつ、患者さんそれぞれの生活状態を加味して手術法や手術の範囲を決定しています。
当院消化器外科の特徴として、体への負担が軽く、早期に退院や社会復帰が望める腹腔鏡手術を基本にしています。日本内視鏡外科学会の技術認定医など経験豊富なスタッフを擁し、食道がん、胃がん、大腸がん、肝臓がん、膵臓がんの悪性疾患に加え胆石やヘルニアなど良性疾患、また腸閉塞や腹膜炎手術に対する緊急手術など、殆どの消化器の病気に対して内視鏡手術を行っています。また、2024年には胃がん、大腸がんにロボット支援下手術を導入しています。肝胆膵領域の良性疾患(胆石症、胆管炎など)や悪性疾患(膵がん、胆道がん)の診断・治療にERCPを積極的に行っています。当院では消化器科、肝胆膵内科、腫瘍内科、放射線科、病理診断科と定期的なカンファレンスを行うことで他科の医師や多職種の医療従事者の意見も参考にして、治療方針を決定しています。心臓や肺など様々な疾患を持った患者さんに対しても安全に手術を行えるよう、基幹病院の特徴を生かし各科の専門医師と協力連携しています。
対象疾患
消化器がん
- 食道がん
- 胃がん
- 大腸がん(結腸がん、直腸がん)
- 肝臓がん(肝細胞がん、肝内胆管がん、転移性がん)
- 膵臓がん
- 胆道がん(十二指腸乳頭部がん、胆嚢がん、胆管がん)
がん類似疾患(がんに似た悪性と考えられる病気)
- 消化管GIST
- 神経内分泌腫瘍
- 悪性リンパ腫
- 悪性粘膜下腫瘍
良性の腫瘍(外科的切除が必要なもの)
- 良性のポリープ(胃ポリープ、大腸ポリープ、胆嚢ポリープなど)
- 粘膜下腫瘍
炎症や良性の疾患
- 虫垂炎(いわゆる盲腸)
- 胃十二指腸潰瘍(穿孔、出血、狭窄)
- 消化管(小腸、大腸)の穿孔性腹膜炎
- 腸閉塞
- 炎症性の腸疾患(大腸憩室、クローン病、潰瘍性大腸炎)
- 胆嚢結石・胆嚢炎、総胆管結石・胆管炎
- ヘルニア(鼠径ヘルニア、腹壁瘢痕ヘルニア)
- 痔核(いぼ痔)、痔瘻(あな痔)、裂肛(きれ痔)
診療実績
当院では全ての消化器疾患に対して適応となる症例に積極的に腹腔鏡手術を行っています。胃がん、大腸がん、肝胆膵がんなどの消化器がんだけではなく、虫垂炎、腸閉塞などの救急疾患に対しても腹腔鏡手術を積極的に行っています。
2023年消化器外科手術数
上部消化管(食道、胃) | 総数数35件 | 腹腔鏡31件(88.6%) |
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下部消化管(小腸、大腸、肛門) | 総数171件 | 腹腔鏡105件(61.4%) |
肝胆膵(肝臓、胆道、膵臓、脾臓) | 総数143件 | 腹腔鏡102件(86.0%) |
その他(虫垂炎、ヘルニアなど) | 総数132件 | 腹腔鏡102件(77.2%) |