血液内科

血液内科

概要・特色

血液内科は、病院開院とともに始まった福岡市でも最も伝統ある血液専門科です。新薬を積極的に取り入れた薬物療法・造血幹細胞移植療法を駆使し、白血病・リンパ腫・骨髄腫・骨髄異形成症候群・骨髄増殖性腫瘍などの血液悪性疾患の治癒を目指した診療をしています。対象疾患は悪性腫瘍だけでなく、再生不良性貧血、特発性血小板減少性紫斑病、血栓性血小板減少性紫斑病、血友病、発作性夜間血色素尿症など、難病を含む血液非腫瘍性疾患も診療しています。

外来では毎日血液専門外来を開き、血液救急診療にも対応しています。外来化学療法にも力を入れ、輸血等の支持療法も行っています。入院は、無菌病棟(41床)、一般血液病棟(29 床)からなる、合計70 床の血液病棟を病院最上階に構え、九州一円からの紹介に対応できる体制をとっています。
血液内科領域は良性・悪性疾患問わず、抗体薬、分子標的薬が多数創薬・臨床応用されてきている領域です。毎年のように新薬が登場し、疾患の標準治療もアップデートされ続けており、当科もそれに準じて診療しています。特に2024 年度には再発・難治の悪性リンパ腫に対してCAR-T 細胞療法(遺伝子改変技術を用いた免疫細胞治療)を開始しました。今後は多発性骨髄腫にも広げていく予定です。また、多くの治験・臨床試験にも積極的に参加しています。

造血幹細胞移植は1990 年より開始し、2024 年末までに1,428 例を実施しました。日本有数の移植センターであり、日本造血・免疫細胞療法学会認定の非血縁者間造血幹細胞移植施設です(日本骨髄バンク・臍帯血バンク)。高齢者や臓器障害をかかえた患者さんには移植前の治療を軽くした同種移植(いわゆるミニ移植)を行っています。また、HLA 合致ドナーの見つからない患者さんに対してはHLA半合致移植も実施しています。年齢や併存疾患、HLA の壁を越えて、より多くの患者さんに移植医療が提供できるような時代になってきました。長期生存し病気を克服した患者さんも増えてきたため、移植後長期フォローアップ外来にも注力しています。

一方で、急速に高齢化・多様化の進む中、希望される治療内容や目標は患者さんごとで異なっています。チーム医療・病診連携の充実により、個々の患者さんのニーズにあった医療の提供に努めています。より多くの患者さんに恩恵がもたらされるよう、チーム一丸となり邁進しています。  

チームメンバー集合写真
当院の造血幹細胞移植数とCAR-T療法 年次推移

治療方針

  1. 国内外の最新のガイドライン・治療法に基づき、治癒を目指したベストの治療を提供します。
  2. 標準治療法を行うことが困難な方(合併症を有する方やご高齢の方など)にも当科の豊富な経験・実績をもとに最善の治療を提供します。
  3. 治験や多施設共同臨床試験に積極的に参加して、新規治療薬・治療法の開発に努めています。

患者さん一人ひとりの病状・背景・思いなどを尊重し大切にしながら、治療を行います。

対象疾患

白血球・リンパ球の異常

急性白血病(骨髄性・リンパ性)
慢性白血病(骨髄性・リンパ性)
骨髄異形成症候群
悪性リンパ腫、成人T細胞白血病リンパ腫(ATL)
多発性骨髄腫

赤血球の異常

各種貧血、再生不良性貧血、多血症

血小板・凝固系の異常

血小板減少性紫斑病、血小板増多症、血友病、播種性血管内凝固症候群

支持療法

好中球減少時や免疫抑制状態に対しては、感染の予防および治療、無菌管理
貧血や血小板減少・出血傾向に対しては、輸血製剤の適正使用と副作用対策

疾患および治療法

関連ファイル

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