肝臓内科 部長
具嶋 敏文
Q.) 肝硬変とはどのような病気でしょうか?
A.) 肝炎ウイルスの持続感染、自分の免疫細胞が誤って自分の肝細胞を攻撃する自己免疫性肝炎などの慢性肝炎や、アルコールの飲み過ぎや脂肪性肝疾患などで肝細胞が長期間にわたって壊れ続け、肝細胞が壊れたところに線維が沈着し肝臓が硬くなると肝硬変の状態になります。肝硬変の初期はあまり症状がありませんが、進行すると、足のむくみ、腹水、黄疸などの症状がみられるようになります。食道胃静脈瘤が併発すると、吐血などを生じることもあります。また肝硬変が進行すると、肝がんができやすくなります。
Q.) 肝硬変かどうかはどうやったらわかりますか?
A.) 肝硬変かどうかは採血や腹部エコーなどの画像検査で調べます。最近では、血小板、ASTとALT、年齢から算出されるFIB-4 indexという数値を肝線維化の指標としています。
Q.) 肝硬変の治療は?
A.) B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスによる慢性肝炎、肝硬変では、抗ウイルス療法を行うことで肝炎が落ち着き、肝線維化の進行が止まります。またウイルスを排除すると肝がん発生リスクも下がることが分かっています。肥満の方は体重コントロール、飲酒量の多い方は禁酒・減酒が必要です。時間はかかりますが、肝臓に沈着した線維が溶けて硬くなった肝臓がもとに戻ることもあります。抗ウイルス療法ができない場合は、肝細胞が壊れるのを抑える飲み薬や注射を使います。
肝線維化が進行して肝臓の働きが低下すると、疲れやすくなったり、足がむくんだり、腹水でおなかが張ったり、こむら返りが起きやすくなったりする「非代償性肝硬変」の状態になります。また、便秘や脱水などをきっかけにして、肝性脳症と言われる意識障害が起きることがあります。症状が出た場合には、それぞれの症状に対する薬を使用します。