診療部長、内科統括部長、血液内科 部長、臨床試験センター部長、診療支援部長、感染管理部長、九州大学医学部 臨床教授
衛藤 徹也
化学療法・造血幹細胞移植療法などを駆使し、白血病・リンパ腫・骨髄腫などの血液腫瘍の治癒を目指します。
概要・特色
血液内科は、病院開院とともに始まった福岡市でも最も伝統ある血液専門科です。新薬の開発は目覚しく、それらを使った薬物療法、そして造血幹細胞移植療法を駆使し、白血病・リンパ腫・骨髄腫などの血液悪性疾患の治癒を目指して診療しています。
対象疾患は悪性腫瘍ばかりでなく、各種貧血、再生不良性貧血、多血症、血小板減少性紫斑病、血小板増多症、血友病など、広く血液良性疾患も診療しています。無菌病棟(41 床)、一般血液病棟(29 床)からなる、合計70 床の血液病棟を病院最上階に構え、快適な治療環境を提供します。外来化学療法室とも連携をとり、入院から外来治療へのシームレスな体制を整えています。
造血幹細胞移植は1990 年より開始し、2021 年末までに1267 例を実施(自家移植258 例、同種移植1009 例)。日本有数の移植センターであり、日本造血細胞移植学会認定の非血縁者間造血幹細胞移植施設です(日本骨髄バンクや臍帯血バンクを介しての非血縁ドナーからの移植)。高齢者や臓器障害をかかえた患者さんには移植前の治療を軽くした同種移植(ミニ移植)を行っています。また、HLA 合致ドナーの見つからない患者さんに対してはHLA 半合致移植(ハプロ移植)も行っています。年齢やHLA の壁を越えて、より多くの患者さんに、タイムリーに移植医療が提供できるように努力しています。病気を克服した患者さんも増えてきましたので、専門医師・看護師による移植後長期フォローアップ外来にも力を入れています。
多くの新薬を遅滞なく採用していますが、有害事象にも配慮し、慎重に導入しています。九州大学とも連携し、臨床試験にも積極的に参加しています。より多くの患者さんに恩恵がもたらされるよう、チーム一丸となり邁進しています。
浜の町病院血液内科の治療方針
- 国内外の最新のガイドライン・治療法に基づき、治癒を目指したベストの治療を提供します。
- 標準治療法を行うことが困難な方(合併症を有する方やご高齢の方など)にも当科の豊富な経験・実績をもとに最善の治療を提供します。
- 治験や多施設共同臨床試験に積極的に参加して、新規治療薬・治療法の開発に努めています。
患者さん一人ひとりの病状・背景・思いなどを尊重し大切にしながら、治療を行います。
対象疾患
白血球・リンパ球の異常
- 急性白血病(骨髄性・リンパ性)
- 慢性白血病(骨髄性・リンパ性)
- 骨髄異形成症候群
- 悪性リンパ腫、成人T細胞白血病リンパ腫(ATL)
- 多発性骨髄腫
赤血球の異常
- 各種貧血、再生不良性貧血、多血症
血小板・凝固系の異常
- 血小板減少性紫斑病、血小板増多症、血友病、播種性血管内凝固症候群
支持療法
- 好中球減少時や免疫抑制状態に対しては、感染の予防および治療、無菌管理
- 貧血や血小板減少・出血傾向に対しては、輸血製剤の適正使用と副作用対策
トピックス
- 次々に出る新薬(白血病・リンパ腫・骨髄腫)
- ハプロ移植の増加、HLAのバリアを超えて
- 慢性骨髄性白血病(CML) 無治療寛解維持(TFR)の時代へ
- 再生不良性貧血の薬物療法の進歩
- 非腫瘍性疾患にも画期的抗体薬(血友病、発作生夜間血色素尿症(PNH)
診療実績
現在、7人の血液専門医スタッフ、レジデント2人で、良性から悪性までの血液疾患全般を診療しています。移植コーディネーターも常勤しています。
外来は血液専門外来を平日毎日開設しています。2020年の外来患者は、新患508例、再来10,282例、合計10,790例でした。新患、再来を分けることにより、できるだけ患者さんをお待たせしないように努めています。外来処置室では輸血療法も行えます。5階の外来化学療法室では、外来向きの化学療法を行っています。自宅での生活が継続できるので、患者さんによってはとても喜ばれます。
病棟では、白血病、骨髄異形成症候群、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫の患者さんに対し、治癒を目指した化学療法、造血幹細胞移植を積極的に行っています。2020年の入院患者は計810例(延べ)で、主要疾患の内訳は、悪性リンパ腫330例、骨髄異形成症候群147例、急性骨髄性白血病116例、多発性骨髄腫56例と、約8割が悪性腫瘍でした。
2021年の造血幹細胞移植は同種移植が45例、自家移植が11例、計56例でした。対象疾患ですが、自家移植は11例中7例が多発性骨髄腫、4例が悪性リンパ腫でした。同種移植は急性白血病が22例、骨髄異形成症候群が12例、骨髄増殖性腫瘍が2例、悪性リンパ腫が3例、ATLが3例、再生不良性貧血が1例でした(急性白血病の2例が2回の移植を受けています)。
同種移植45例について述べます。年齢中央値は62歳(18-74歳)で、10年前と比べても10歳ほど上がっています。12例が65歳以上でした。前処置は、フル移植が17例、ミニ移植が28例でした。ドナーソース別では、骨髄バンクドナーが10例、臍帯血が9例、血縁ドナーが26例でした。血縁ドナーの増加が目を見張りますが、HLA一致ドナーは4例のみで22例はハプロ移植でした。つまり同種移植の約半数がハプロ移植です。骨髄バンクドナーは、最近は骨髄でなく末梢血ドナーが増えてきています。移植は切り札的治療であるが故、実施するタイミングがとても大切で、患者さんの病状に合わせて最適なドナーを選んでいっています。
良性・悪性疾患を問わず、最近の新薬開発が著しいことは先に述べた通りです。当院では新薬を吟味し、必要な患者さんには届けることができるよう、環境を整えています。もちろん、効果のみならず、有害事象にも留意しながら、慎重に導入しています。企業の開発治験、九州大学を中心とした多施設共同臨床試験にも積極的に参加しています(JSCT研究会:https://hp-jsct.jp、 FBMTG:http://www.f-bmtg.jp)。
外来担当医師
午前
月 | 衛藤 徹也 栗山 拓郎 |
---|---|
火 |
松尾 弥生 |
水 | 栃木 太郎 谷口 修一 林 正康 |
木 | 林 正康 衛藤 徹也 松尾 弥生 |
金 | 栗山 拓郎 林 正康 |