肝胆膵内科 部長
具嶋 敏文
概要・特色
肝臓学会専門医2名で肝臓・胆嚢・膵臓領域の幅広い疾患を診療しています。症状がなく健康診断などでたまたま異常を指摘され当科を受診される方も多く、患者さんに十分納得していただけるような丁寧な診療を心がけています。
B型・C型肝炎、肝硬変に対しては積極的に抗ウイルス療法を導入するとともに、エコー、CT、MRIなどで慎重に経過観察し、肝がんの早期発見に努めています。看護師、薬剤師、管理栄養士、臨床検査技師など数名が肝炎医療コーディネーターに認定されており、多方面から肝炎患者さんのサポートをおこなっています。
入院患者の4割近くを占める肝細胞がんには、肝予備能や腫瘍の状態を考慮し経皮的ラジオ波焼灼療法、肝動脈化学塞栓術、手術、肝動注リザーバーを用いた肝動注化学療法、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬などを選択しています。
最近増加傾向にある脂肪性肝疾患には栄養指導、生活指導を行い、開業医の先生と連携しながら診療しています。肝臓内科カンファレンス、外科・放射線科との合同カンファレンスなどを行い、チーム医療を行っています。
当院は福岡県肝疾患治療専門機関、日本肝臓学会認定施設、日本消化器病学会認定施設、肝臓がん検診精密検査実施医療機関に認定されています。日本肝癌研究会施設会員です。
対象疾患
対象疾患:肝臓・胆嚢・膵臓領域の疾患を対象とします。 代表的な病気として、以下のようなものがあります。
肝臓疾患
急性肝炎・肝不全、ウイルス性肝炎(B型、C型肝炎など)、脂肪性肝疾患、慢性肝炎、肝硬変、食道胃静脈瘤、自己免疫性肝疾患(自己免疫性肝炎、原発性胆汁性胆管炎など)、肝膿瘍、肝細胞がん など
胆道系疾患
胆のう炎、胆管炎 など
膵臓疾患
急性・慢性膵炎、膵腫瘍 など
B型肝炎について
B型肝炎が持続すると、慢性肝炎から肝硬変、さらには肝がんへ進行することがあります。最近は、飲み薬による治療でウイルスの増殖を抑えて病気の進行を止めることができるようになってきています。
C型肝炎について
C型肝炎が持続すると、慢性肝炎から肝硬変、さらには肝がんへ進行することがあります。最近は、飲み薬による治療でウイルスを排除することができるようになってきています。
脂肪性肝疾患について
肥満やアルコールによる肝臓病では、肝細胞内に脂肪がたまって、脂肪肝から脂肪性肝炎、そして肝硬変へと進行します。最近、肥満人口の増加、生活習慣などの変化により、脂肪肝が増加しています。
肝硬変について
慢性肝炎が持続すると、肝細胞が壊れたところに線維が沈着し、肝臓が硬くなり肝硬変の状態になり、さまざまな症状がでることがあります。
肝細胞がんについて
B型肝炎、C型肝炎が原因となることが多いのですが、アルコール性肝障害や脂肪性肝炎、自己免疫性肝炎などが原因となることもあります。最近ではC型肝炎が原因の肝がんは減少傾向で、脂肪性肝疾患などが原因となる肝がんが増加傾向です。肝線維化が進んだ方や高齢者は発がんのリスクが高いと言われています。他のがんと同様に早期発見、早期治療が大切です。AFP、PIVKA-II(ピブカ・ツー)という腫瘍マーカーや、腹部エコー、CT、MRIなどの画像検査、腫瘍に針をさして細胞を採って顕微鏡で調べる生検などを行って診断します。
診療実績
健診や開業医での採血や画像検査で肝機能異常や腫瘍を指摘された方がたくさん来院されています。外来は新患、再来患者合わせて、年間4, 000~5,000名程度を診察しています。
C型肝炎に対する抗ウイルス療法は2015年には70名程度の方に行いましたが、最近はC型肝炎患者の減少に伴い、治療数自体は減少傾向にあります。
当科には年間250名前後の方が入院されますが、4割程度が肝臓がんの患者さんです。肝臓がんは外来で腹部エコー、CT、MRIなどで診断し、治療は入院して行うことがほとんどです。経皮的ラジオ波焼灼療法は毎年10~40例程度おこなっています。肝動脈化学塞栓術は毎年30例程度おこなっています。肝細胞がんに対する新しい薬が次々と開発されており、全身化学療法をおこなう患者さんが増加傾向です。近年は食道静脈瘤の内視鏡治療も積極的におこなっています。
「沈黙の臓器」といわれる肝臓の病気は症状が出る前の段階からきちんと検査を受けることが大事です。当科では患者さんひとりひとりに最適な検査や治療をおこなえるよう、最新の医療情報を取り入れ、丁寧に診療をおこなっています。
外来担当医師
午前
月 | 柴田 倫子 |
---|---|
火 | 具嶋 敏文 |
水 | 具嶋 敏文 |
木 | 柴田 倫子 |
金 | 樋口 野日斗 |