概要・特色
浜の町病院整形外科では、変形性関節症や関節リウマチなどの関節疾患、一般外傷、スポーツ外傷への治療を中心とした診療を行っています。
手術によって痛みの無い関節を得て、笑顔で外来に来られる患者さんとお会いするのを何よりも嬉しく思っています。他院ではなく、「浜の町病院で手術して良かった」と言っていただけるようにスタッフ一同頑張ります。以下に代表的な関節手術について紹介します。股関節と膝関節の手術療法についての詳細は、はまかぜを参照ください。
対象疾患
- 外傷一般(骨折、脱臼、半月板損傷、靱帯損傷、アキレス腱断裂など)
- 変形性関節症(変形性膝関節症、変形性股関節症、その他の変形性関節症)
- 関節リウマチ
- 大腿骨頭壊死症
- 痛風など関節炎を伴う疾患
- 末梢神経疾患(手根管症候群、肘部管症候群など)
- 骨粗鬆症、骨代謝疾患
当院は、日本整形外科学会、日本リウマチ学会の教育認定施設です。
関節疾患
関節疾患の原因として最も多いのが、変形性関節症 (OA)です。日本人の股関節は、生まれつき骨盤側のくぼみが浅い"寛骨臼形成不全"であることが非常に多く、変形性股関節症の原因となります。また日本人の膝関節はもともとO脚であることが多く、変形性膝関節症の原因となります。これらの骨の形態異常に伴って、膝関節や股関節には日常生活で体重の5倍以上の負担がかかっていることがわかっており、症状は一時的に軽快することもありますが、ほとんどは慢性進行性に悪化してきます。
関節リウマチでも関節障害が生じます。当科では生物学的製剤を含めた最新の薬物治療を行っています。近年薬物治療により関節破壊がかなり抑制できるようになっていますが、進行した関節症には手術が必要になります。
手術のタイミング
手術を受けたくないために関節の痛みを我慢して生活を続けていると、変形は進行し、筋力は低下し、周囲の股関節や膝関節、さらに脊椎まで破綻してしまうことはよくあります。したがって、手術にも適切な時期というものがあります。近年人工関節は材料と手技の進歩で術後20年以上の耐久性が期待されています。60-70歳代で手術を受けられる方が多いですが、80歳以上で手術する割合は年々増加しています。たとえ90歳になっても、歩けないとそのまま寝たきりになることから、体が元気なら手術を希望されることが増えています。
関節温存手術:膝関節の骨切り術
変形性膝関節症の病状によっては、自らの関節を温存する膝関節周囲骨切り術を行っています。O脚だが外側の状態が良い場合などが良い適応で、通常は40-50歳くらいまでに選択します。下腿の骨切りを行って、まっすぐな脚に矯正し、プレート固定します。近年固定材料が非常に良くなり、成績が向上しています。両膝同時に手術しても、術後1週間以内に歩行訓練を開始し、4週程度で退院します。術後1-2年で抜釘する事が多く、スポーツ復帰も可能です。
人工膝関節置換術
進行期や末期の膝関節症に対して、傷んだ関節面をインプラントで置き換えます。生体適合性の良い材料でできており、金属アレルギーのあるかたでも手術可能です。手術によりこちらもまっすぐな脚に矯正します。手術翌日から歩行訓練を開始して2週間程度で退院し、日常生活はほとんど困らないようになります。関節の半分を温存する機種、後十字靱帯や前十字靱帯を温存する機種や、重度変形に対応可能な拘束型など、多くの機種を使い分けています。手術前にコンピュータを用いて3次元的に正確な術前計画を行い、また手術手技についても常に研究しています。
関節温存手術:股関節の骨切り術
関節軟骨の残存する17-55歳くらいまでの寛骨臼形成不全症に対して、骨切り術(寛骨臼移動術)を行っています。骨盤の骨を球形に切って、大腿骨頭の被覆を正常な状態に改善させて固定します。大きな手術ですが、展開のための追加骨切りをしないことなど、さまざまな工夫を行い、できるだけ侵襲を小さくするように心がけています。術後2週から部分荷重歩行訓練を開始し、5-6週程度で退院します。術後2ヶ月くらいは杖が必要ですが、なんといっても、自分の股関節を残せることが魅力です。術後1-2年で抜釘する事が多く、スポーツ復帰も可能です。
人工股関節全置換術
進行期や末期股関節症や大腿骨頭壊死症に対して、痛んだ関節面をインプラントで置き換えます。術翌日から歩行器や杖での歩行訓練を開始し、術後1-2週で退院します。
当科では以前より8-9cmの小皮切で手術を行っていましたが、近年世界に先駆けて、股関節周囲の筋肉と関節包靱帯への侵襲の少ない手技(CPPアプローチ)を開発して成績向上に努めています。通常は切る組織を切らずに手術するので、術後回復が速く、脱臼予防や筋力維持など長期的にもさまざまな利点があることを確信しております。
また、わずかなインプラント設置角度の違いが成績に大きな影響を及ぼすことが知られており、当科では最新のポータブルナビゲーションシステムを用いて正確な設置を心がけています。
包括的全身管理
心臓、肺、腎臓、肝臓の問題がある場合は、循環器科、呼吸器科、腎臓内科、肝臓内科に術前から相談しています。手術計画や術中支援では、放射線科と放射線部に最新の機器でお世話になっています。関節リウマチなどの病気では膠原病内科、皮膚トラブルは皮膚科、またできるだけ手術創を綺麗にするように形成外科にも協力いただいています。感染が疑われる場合は感染症内科や総合診療科と相談します。このように多くの先生と包括的に管理ができることは、総合病院で各診療科の垣根が低い浜の町病院ならではの特徴のひとつです。
また、骨は誰しも年をとるにつれて弱くなるため、術前から骨粗鬆症の評価と治療を行っています。日本人の90%以上が足りていないビタミンDの補充も指導しています。手術がよりうまくいくように、術前からプール歩行などのリハビリテーション、そして禁煙が勧められます。
入院
手術と入院生活を安全に快適に受けていただけるように、また入退院やリハビリ病院への転院がスムーズにいくように、看護部と地域医療連携課、入退院支援センターでサポートします。入院されると内服薬は薬剤部で確認しますし、食事についても栄養課で検討します。
リハビリテーション
プロのアスリート選手などに多用されているPower PlateRやRedcordRなどの最新の機器を活用して、術後の早期社会復帰を目指したリハビリ加療と自宅退院後のリハビリ指導を行っております。特に人工関節のリハビリでは術後早期(術翌日)より歩行を始める事を目標にしており、手術後5日~2週以内での自宅退院が可能となるリハビリメニューを作成しております。
現在、当院のリハビリは入院リハビリに特化しており外来リハビリは行っておりませんので、必要な際は近隣の施設で適切なリハビリが出来るように調節を行っております。
痛みとの戦い
手術は痛みをとるために行いますが、手術自体での痛みをできるだけ経験しないでいいように、麻酔科とも相談しながら各種の対策をしています。
おわりに
手術によって痛みの無い関節を得て、笑顔で外来に来られる患者さんとお会いするのを何よりも嬉しく思っています。他院ではなく、「浜の町病院で手術して良かった」と言っていただけるようにスタッフ一同頑張ります。
外来担当医師
午前
月 | 当番医 |
---|---|
火 | 馬渡 太郎 原田 知 末田 麗真 萩尾 聡 江崎・野見山 |
水 | 当番医 |
木 | 馬場 省次 河野 紘一郎 末田 麗真 萩尾 聡 北村 健二 |
金 |
馬渡 太郎 |
新患は紹介のみで、できれば火、木、金曜日の受診をお願いします。通常外来受付は8時30分~11時00分ですが、月、水、金曜日は手術日のため、8時30分~10時30分としております。原則として予約制です。