病理診断科 部長
米田 玲子
迅速かつ正確な病理診断を報告できるよう、スタッフ一丸となって日々努力しています
概要・特色
診療科から提出される組織検体からプレパラートを作製し、顕微鏡を用いて診断を行っています。診断の種類としては、細胞診断、生検組織診断、手術材料の組織診断、術中迅速診断および病理解剖があります。採取された組織が悪性なのか良性なのか、悪性であれば腫瘍の種類や腫瘍細胞の広がり、細胞の特性などを見極め、臨床での治療につながる最終診断を行っているのが病理診断科です。
病理診断の際には、画像情報を含めた多彩な臨床情報や肉眼所見なども重要な情報です。臨床経過や画像情報をしっかり把握できるよう、電子カルテを用いて積極的な情報収集を行っています。定期的な臨床科とのカンファレンスでは、病理診断と臨床情報のすり合わせを行っています。
病理診断の補助となる手法として免疫組織化学染色がありますが、院内に多数の抗体を取り揃えることで、多種類の標本を迅速に作製し、正確な病理診断を行うことが可能です。さらに、腫瘍の治療においては、正確な診断確定や治療薬剤の選択のために分子遺伝学的解析が必要となっており、遺伝子検査に用いるための組織標本や細胞診検体を適切に処理・保管・選別する業務も病理診断科の仕事です。
病理診断科は、常勤病理医2 名(病理専門医1名)、臨床検査技師6名(全員細胞検査士5名)で構成されています。九州大学の形態機能病理学教室から週2回の診断応援をいただき、また、珍しい症例は同教室のエキスパートにコンサルトすることで、多彩な疾患の病理診断に対応し、診断精度の向上に努めています。
術中迅速診断
通常の診断に用いているヘマトキシリン・エオジン(HE)染色標本は、検体が病理診断科に到着してから標本が出来上がるまでに最低1日かかります。
術中迅速診断では、通常と異なる特殊な手法を用いて30分程度で標本を作製し、手術時間内に病理診断を行います。病変の良悪性、腫瘍の広がり、断端の陰性確認などが主な目的で、術式選択の重要な情報になります。
ゲノム診療用病理組織検体の取り扱い
病理検体は、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)検体として保管されています。 悪性腫瘍の治療では、このFFEP検体から病変内に含まれるDNA、RNAを解析して、特徴的な遺伝子変異が見つかれば、より効果のある薬剤を選択できる可能性があります。
FFPE検体から、解析に適した質の良いDNAやRNAを抽出するために、「ホルマリン固定前」「ホルマリン固定」「ホルマリン固定後」のプロセスで注意が必要です。病理診断科は特に、ホルマリン固定および固定後のプロセスに関わります。