子宮頸がんとは
子宮頸部に発生するがんで、組織型としては約8割が扁平上皮癌、約2割が腺癌です。発症年代としては、性的活動期である20代から40代にピークがあり、近年では若い年代において子宮頸癌が増加傾向にあります
子宮頸がんの原因は?
ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が主な原因であることが知られています。HPVは性交渉により子宮頸部粘膜に侵入しますが、9割は自然にウイルスが排除されます。1割の方で持続感染状態となり、扁平上皮内部において徐々に異常病変(異形成=前がん病変)をひきおこします。異形成が進行して子宮頸癌に至るまでには平均10年ほどかかると考えられており、異形成の段階で早期発見して治療することにより癌の発症を防ぐことができます。
子宮頸がんの症状は?
不正性器出血、性交後出血や帯下といった症状を起こすことがありますが、前がん病変の段階では症状がないこともあります。子宮がん健診を受けることで異常の有無を知ることができます。
子宮頸がんの予防法は?
がんの発生を予防(1次予防)する手段として、ワクチン接種があります。ヒトパピローマウイルス(HPV)に暴露される前(初回性交渉前)にワクチン接種を受けることで、子宮頸がんの7割は防ぐことができると考えられています。ワクチン接種は自費ですが、当院婦人科外来でも受けることができます。
がんや前がん状態(異形成)の早期発見・早期予防(2次予防)には、子宮がん健診が有効です。
検査・診断
子宮頸部から直接細胞を採取することができるので、容易にスクリーニングすることが可能です。診断の確定には組織検査を要します。異形成(頸癌の前がん状態)に対しては、HPV検査を追加することでがんのハイリスクウイルス感染の有無がわかり、将来の異形成ががんへ進展するリスクを推測することができます。
治療法
前癌状態であれば、子宮を温存した治療(子宮頸部円錐切除術やレーザー蒸散術)が可能です。前癌状態を超えた場合には、子宮摘出手術・放射線療法・化学療法(抗がん剤治療)といった治療法を選択します。