コンピューター断層撮影装置16列MDCT(マルチスライスCT)について
当院では、最新鋭のコンピューター断層撮影装置16列MDCT(マルチスライスCT)を導入しております。マルチスライスCTは、1)脳の血管を立体的(三次元)的に見ることができ、脳血管撮影と同様かそれ以上の脳の血管の情報が得られ、2)通常の末梢静脈からの造影剤投与により脳血管撮影以上に安全にでき、しかも3)外来で検査できる等の利点をもっております。
それで、脳神経外科と放射線科では脳動脈瘤でお困りの患者さん方に少しでもお役にたてればと、マルチスライスCTを用い脳動脈瘤の精密検査を行い始めました。この造影CTは、三次元の立体的血管描出が可能なため、MRA等で疑われた不明瞭な脳動脈瘤が本当に存在するのかどうか、またそれらの大きさや形を詳細に検討することが出来ます。(図:症例1,2,3)
左中大脳動脈瘤
前大脳動脈瘤
前交通動脈瘤
無症候性脳動脈瘤について
近年、診断機器の発達で無症候性(症状のない)脳動脈瘤が、脳ドックなどでしばしばみつかるようになりました。脳動脈瘤とは、血管の分岐部に血流が長期にあたることにより生じたいわゆる“血管のタンコブ”です。高血圧症の人などに多くみつかりますが、最近では家系的に発生しやすいということも分かってきました。未破裂で見つかった脳動脈瘤が破れる可能性はそれ程多くはありませんが、破裂するとくも膜下出血を生じます。初回出血で死亡される方は多くありませんが、再出血すると大半の方は死亡されます。そのようなわけで、未破裂脳動脈瘤は恐れられます。未破裂脳動脈瘤はいつ破れるのかが分からないことが問題です。それで、動脈瘤の形や大きさから破れやすさについて検討を加えるわけです。この脳動脈瘤精密検査にコンピューター断層撮影装置16列MDCT(マルチスライスCT)が大変役立ちます。(図:症例4,5,6)
右内頚動脈瘤
左中大脳動脈瘤
左中大脳動脈瘤(2個)