生化学検査部門は、臨床化学検査部門などともいわれ、体内の糖成分、窒素成分、酵素、脂質、無機質、ホルモン、腫瘍マーカー、薬物濃度、ウイルスなどの抗体力価を定量的に測定する検査です。身体に異常がある場合、血液中の種々の成分は基準値と比較し、高値や低値を示すことがあります。そのため、これらの成分を測定することは病気の存在を知る上で大変重要です。
生化学部門は、主として患者さんから採血して得られた血液を遠心分離して得られる「血清」成分を用いて検査を実施します。他に尿や髄液を用いて検査することもあります。
検査を受ける時の注意事項
血糖値
食後30分位から上昇します。通常は空腹時に検査します。
TG(中性脂肪)
脂質検査の1つですが、血糖と同様に食事により上昇します。
過度のアルコール摂取で上昇する酵素
GGTPが代表的で肝由来の酵素が上昇します。
過激な運動で上昇する酵素
CPKは筋組織に多量に存在するために上昇するといわれています。
生化学検査
血清とは?
患者さんから採血された血液を遠心分離して得られた淡黄色の液体成分のことを血清といいます。
血清確保のための遠心分離に5~10分程かかります。
糖成分、窒素成分、酵素、脂質、無機質などを検査測定します。
血清自動分注装置
生化学自動分析装置1
生化学自動分析装置2
主な検査項目と各臓器の関連
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肝臓機能検査
T-Bil、 D-Bil、 ZTT、 CHE、 AST、 ALT、 LDH、 ALP、 GGTP -
膵臓機能検査
AMY -
心臓機能検査
CPK、 LDH -
前立腺機能検査
PSA、 F-PSA、 PSA比 -
腎臓機能検査
BUN、 CRE、 UA、 Na、 K、Cl、 Ca、 TP、 ALB -
甲状腺機能検査
TSH、FT-4、FT-3 -
脂質代謝関連検査
TCHO、 TG、 HDL、 LDL -
糖代謝関連検査
血糖、 HbA1c、グリコアルブミン
免疫検査
免疫血清検査は、血清や穿刺液などを用いて、感染症や腫瘍マーカー、甲状腺ホルモン、性ホルモン、免疫グロブリン関連の検査測定を行っています。
免疫とは?
私達の生活環境には、ウイルス・細菌・カビ・寄生虫といった病気を引き起こす様々な病原体が存在しています。そのような環境下で生きていくための「 身を守る働き 」を免疫と呼んでいます。
病原体が人に感染すると、生体防御反応としてその病原体(抗原)に対して特異的なタンパク質、すなわち抗体がつくられます。これが「 免疫がついた 」という反応だといわれています。なお、この原理は予防接種に応用されています。
全自動電気化学発光免疫測定装置
全自動免疫測定装置
感染症検査
2種の機器を用いてHBs抗原、HCV抗体等の肝炎ウイルス検査や梅毒検査を実施しています。
腫瘍マーカー検査
AFP、PSA、CEA、CA19-9、CA15-3、シフラなどの検査を実施しています。
がん細胞が体内で産生する特異物質の総称で、がんの種類により、検査する腫瘍マーカーは異なります。
がん以外でも陽性化しますので、治療・診断の補助的役割として使われます。
ホルモン検査
TSH、Free-T4、Free-T3など甲状腺関連の検査や、LH、FSH、E2などの婦人科系のホルモンの検査を実施しています。
免疫グロブリン検査
IgG、IgA,IgM、蛋白分画の検査を実施しています。
全自動電気泳動装置
薬物血中濃度検査
当院では、骨髄移植を実施しています。当検査部でもそれに対応すべく、免疫抑制剤の血中濃度を測定しています。
検査結果報告について
院内で測定している検査は即日報告で、約60分から90分程度で結果がわかります。
外来の患者さんの場合、採血後すぐに検査を行いますので、医師は当日の検査結果をもとに診察することができますが、結果が出るまで少々待っていただきます。
糖尿病医療チームへの参加
糖尿病療養指導士免許を持つ技師が、教育入院をされる糖尿病患者さんへ糖尿病に関する検査の説明を行っています。
また、自己血糖測定機の使用方法についての指導及び、管理、メンテナンスも行っています。